中国語と日本語、どっちが難しい?
中国語と日本語の習得難易度
トライリンガル教師が比べてみた!
台湾で日本語・英語教師をしていた私ですが、よく日本の方に聞かれる質問があります。
”中国語と日本語、どっちが難しいの?”
結論から言うと、難しい場所が違うので単純にどちらの方が難しいと言うことはできません。
ですが、細かく言語学習の要素を分けて比較をしてみました。
中国語 vs 日本語 難易度 || 音韻体系
中国語 vs 日本語 難易度 || 文字
中国語 vs 日本語 難易度 || 文法構造
中国語 vs 日本語 難易度 || 語彙の特徴
中国語 vs 日本語 難易度 || リスニングと発音
中国語 vs 日本語 難易度 || 学習者のチャレンジ
中国語 vs 日本語 難易度 || FAQ
こちらの学習曲線の比較にもよく表れているように、中国語の発音は学習し始めが一番難しいですが学習を進めるうちにどんどん簡単になっていきます。
文法はその逆で、どんどん簡単になっていく日本語に比べて中国語は難易度が上がっていきます。
それでは、こういった違いも踏まえてどちらの言語習得の方が難しいのか比較していきましょう!
音韻体系
日本語は音の単純さと長短音の区別が特徴であり、一方で中国語は声調の存在と複数の音節から成る単語が挙げられます。
これらの要素が、言語の発音や理解において学習者にどのような影響を与えるか探ります。
日本語 -音韻
日本語はご存知のように、母音と子音の組み合わせによって音は造られます。
ka ki ku ke ko – かきくけこ、といったように、システムを覚えてしまえば50音は比較的に簡単に発音をマスターすることができます。
ここで外国人学習者の壁となるのは、長音と短音や濁音、半濁音といった日本語独特の発音です。
特に濁音や半濁音は日本人の私からすると自然に点々やまるが文字の上にあることで、音が少し変化する、といった感覚があるのですが、外国人生徒からすると違う文字として覚える方が覚えやすかったりするようです。
そして、学習者のレベルが上がってくると、”王様”(おうさま)なのに(おおさま)と発音する、等細かい発音のルールを覚える必要が出てきます。
と言うことで冒頭の学習曲線に見られるように、日本語の音韻体系は大方シンプルなので最初は簡単ですが、完璧に近づけていく作業が難しくなります。
中国語 – 音韻
対して中国語の音韻は中国語を学習する際の最大難関の一つでしょう。
それは、声調(トーン)のせいです。
中国語は声調が単語の意味を区別する上で鍵となります。
中国語には通常、4つの声調が存在します。
声調は音の高低やピッチの変化によって区別され、同じ音節でも声調が異なれば異なる意味になります。
例えば、「ma」の音節がある単語は、発音の高さや低さによって「馬」(mǎ、3声調)や「麻」(má、2声調)など、異なる意味を持つ単語になります。
私自身、最初の数ヶ月はこの声調の習得が大変苦痛でした。
何度も何度も練習しても、ダメ出しされ、涙が出る日もありましたが、一度習得すればなかなか忘れられるものではありません。
不思議なのですが、習得する前は声調の違いが聞き取れなかった単語も、今は音節が同じでも成長が違うと違う単語に聞こえるんです。
なので、中国語の発音学習曲線の開始時に難易度が高いのもその通りだと思います。
文字
中国語は漢字のみですが、日本語は漢字、ひらがな、カタカナの三つがあるので、文字だけでいえば日本語の方が難しい!と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
その通りで、日本語の漢字、ひらがな、カタカナの組み合わせは、学習者にとって一定の挑戦をもたらします。
漢字は形が複雑で覚えるのが難しく、ひらがなとカタカナは異なる用途で使用されるため、初心者は文字の使い分けに注意を払う必要があります。
一方で、中国語の漢字とピンインは、文字の形状が単純である反面、発音の覚え方が特有であり、学習者にとって新しい挑戦となります。
*ちなみに中国語には簡体字と繁体字が地域によって使い分けられています。
しかし別の見方をすれば、日本語の場合、初心者であれば漢字をたくさん覚えなくても、ひらがなとカタカナさえわかれば、意思疎通ができます。
私たち日本人も小学校の頃から時間をかけて少しづつ漢字を勉強してきましたよね。
なのでこちらも発音と同様で、最初はひらがなとカタカナに集中すればいいので楽ですが、レベルが上がっていくうちに更に漢字を覚えなくてはならず、その上中国語に比べて一つの漢字の読みのバリエーションが多いので、大変です。
それに比べて、中国語はピンインを覚えたらすぐに漢字を覚え始めなくてはなりません。
中国語では、ピンイン(Pinyin)と呼ばれるラテンアルファベットを用いた発音表記法が一般的に使われています。ピンインは、中国語の発音をラテン文字で表現し、学習者が正確な発音を学ぶ助けとなります。
幸運にも私たち日本人はすでに漢字を習得しているので、他の外国人に比べて圧倒的にこの点は有利です。
しかし前述したように、日本語に比べて漢字の読みが少なく、読みの規則のようなものも学習するにつれて掴めてくるようになるので、そういった点は安心できます。
文法構造
文法構造は言語学習の核心です。
日本語と中国語の文法には全く似通っていないものがありながら、主語の省略など共通点がいくつかあるが特徴です。
結論から言いますと、文法においては中国語の方が圧倒的にシンプルかと思います。
上級者になると、使いづらい・分かりづらいと感じる中国語の文法も表れますが、英語や日本語に比べるとルールが少なく単純です。
日本語 -文法
日本語の基本的な文章の構造は、主語-目的語-動詞ですね。
私は(主語)先生に(目的語)聞く(動詞)。
といった具合です。
この基本の文章構造に加えて、敬語や助詞、動詞・形容詞の変化の複雑性等が日本語の文法の難易度を上げる要素となります。
中国語 – 文法
中国語の文章の基本構造は、主語-動詞-目的語の順番です。
これは英語と一緒の順番ですね。
我(主語)问(動詞)老师(目的語)。
私は、聞く、先生に、と言う順番です。
そして中国語の文法の難易度をグッと下げるのが、動詞や形容詞の変化がないことと時制がシンプルであると言う点です。
英語やある他の言語では、主語によって動詞が変化します。
日本語でも、する→した、のように時制、又は肯定否定によって単語自体が変化しますね。
そんななか、中国語では了,不,没といった文字を付け加えるだけなので簡単です。
目上の人を敬う文化は、中華文化でも共通しますが、日本のように敬語が文法に絡むことは大変少なく、ルールも日本語ほど細かくないです。
と言うことで、文法は日本語の方が難易度が高いといってもいいかもしれません。
語彙の特徴
続いては語彙についてです。
一つ言えることは、もうご存知かもしれませんが、日本語と中国語には共通する単語がたくさんあると言うことです。
また、一つ一つの漢字が意味をもつため、知らない単語でも形や部首でなんとなく意味を想像できると言う点も同じです。
とはいっても、二つの違う言語ですから比較してみる価値はありそうですね。
日本語 −語彙
文法のセクションでも前述しましたが、日本語の特徴の一つとして敬語が挙げられます。
ご存じのように、敬語は文法だけでなく、単語とも関わりがあります。
食べると言う単語は、召し上がるに変化するわけではなく、別の単語ですよね。
この要素が日本語の語彙の難易度を上げると言うのは間違いないと思います。
しかし、話す相手が外国の方とわかっていれば、敬語が多少おかしくてもそこまで気になりませんし、敬語を完璧にできなくても友人とのコミュニケーションの上で問題はさほどありません。
それに反して、どんな場合でも直面しなければならないのが、単語のニュアンスの理解でしょう。
外国の方はよく、”それ面白いね”と言いますが、interestingでもfunnyでもあるこの言葉を完全に使いこなすのは、なかなか難しいようです。
中国語 -語彙
対して中国語の語彙を学ぶ中で一番難しいとも言えるのは、諺や四字熟語です。
日本語でも四字熟語やことわざは使いますが、中国語の方が使われる頻度が多いように感じます。
特にテレビやニュースの報道の中でよく使われる上に、種類が多いと言うのが特徴。
学んでも学んでも、キリがない…。
私も中国語を学習し始めて6年、台湾にも4年在住しましたが、四字熟語やことわざは今だに意味がわからない時があります。
これも日常生活に支障が出ることは少ないのですが、これらを自在に使えるとピンポイントの表現ができるようになるだけでなく、一目置かれる存在になります。
上級者は時間をかけてこれらを習得していっても損はありません。
リスニングと発音
言語に関わらず、聴解と発音の向上には、リスニング練習や発音トレーニングを積み重ねることが重要です。
また、ネイティブスピーカーとのコミュニケーションや実際の会話に積極的に使用することで、実践的なスキルの向上が期待できます。
それでは、日本語と中国語のリスニングと発音について比較していきましょう。
日本語 -リスニングと発音
日本語の方言の多様性はとても面白いですが、学習者にとっては混乱の一つでもあります。
中国語(マンダリン)でも訛りや方言はありますが、日本のそれとは少し違います。
語尾や単語が全く変わってしまうと言うのは、日本語の方言の特徴です。
実際日本に行くと、そういった違いに悩まされる学習者も少なくありません。
しかし、中国語に比べると、声調がないといってもいいくらいなので、そういった点では日本語の方がわかりやすいです。
中国語 −リスニングと発音
先に述べたように、中国語には声調が存在するため、ここをマスターしなければ聞き取りがほぼ不可能です。
日本でも多少は声調があります。例えば雨と飴では少しだけトーンが違いますよね。
中国語だと、maと言う音だけで、嗎馬媽罵麻蔴…といったように違うトーンで永遠に単語が出てきます。
と言うことで、中国語のリスニングは圧倒的に難しいように個人的には思います。
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学習者のチャレンジ
これらを踏まえた上で、中国語と日本語学習における学習者のチャレンジをまとめてみました。
日本語
- 敬語表現
- 敬語表現は語彙や文法に影響します。初心者は大丈夫ですが、どんどんと日本語の学習を進めるにつれて必要性が増していきます。
- 文法の複雑性
- 動詞の変形から助詞等、日本語の文法は中国語のものに比べて複雑です。
- 方言の多様性
- 地方の方言の差が大きく、マスターするのが難しいです。
中国語
- 声調
- 難易度が高く、尚且つ必須である声調のマスターは初心者が初めにぶつかる大きな壁です。
- 四字熟語とことわざ
- 表現を更に豊かに、正確にしたいときには大量の四字熟語やことわざを学ぶ必要があります。
FAQ
中国語か日本語、学ぶのが難しいのはどちらですか?
結論から言うと、難しい場所が違うので単純にどちらの方が難しいと言うことはできません。
中国語と日本語の文法の違いはなんですか?
日本語の基本的な文章の構造は、主語-目的語-動詞。
中国語は主語-動詞 -目的語 です。
声調とはなんですか?
声調は音の高低やピッチの変化によって区別され、同じ音節でも声調が異なれば異なる意味になります。
例えば、「ma」の音節がある単語は、発音の高さや低さによって「馬」(mǎ、3声調)や「麻」(má、2声調)など、異なる意味を持つ単語になります。
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